漫画版『あの花』を読んで、アニメの演出が素晴らしいことを確認した

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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

作者:泉光

掲載誌:ジャンプスクエア

発表期間:2012年5月号 - 2013年5月号

巻数:全3巻

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』レビュー

前回、前々回と泣ける漫画を求めて読んでみましたが、残念ながら泣けなかったので、前回の話の中に出てきた、『あの花』の漫画版を読んでみることにしました。アニメで号泣したのだから、この作品だったら泣けるかもしれない。

3行でわかる漫画版『あの花』

仲のよかった6人組の男女グループの子供達の一人が事故で死に、

それを機にバラバラになってしまったメンバー。大人になり死んだ女の子が幽霊となって現れる。

幽霊の願いを叶えてあげるためにメンバーが集まり、絆を取り戻す物語。

3分でわかる漫画版『あの花』の詳細なあらすじ

夏の終わり、そいつは現れた。

―――あの頃の夏、俺達はいつも一緒だった。小学校の裏手の山。俺達だけの秘密基地。

夏のどんな時間だってそこで遊んだ。どんな記憶だってそこで生まれたんだ。

ゆきあつはナンバーツー。音楽の成績は俺より上だけど、他は全部俺にはちょっとだけ追いつかない。

つるこはとことんマイペースな奴だ。絵がうまいけど描くのはいつもお姫様。

あなるはやたら真面目で几帳面。まるで親戚のおばさんみたい。

ぽっぽはちびでビビリでみそっかす。

そしてめんま。じいちゃんだかが外国人でクォーターってやつらしい。よく転ぶうえにすぐにピーピー泣くんだ。

知ったばかり覚えたばかりの言葉で自分達に名前をつけた。どこもかしこもすべての平和を守る“超平和バスターズ”。それが俺達。

みんなが俺の後をついてきてた。だって俺がリーダーだから。

でも、あの日は―――。

「じんたんってさー…めんまのこと、好きなんでしょ?」あなるが言う。

「え」

「ふぁぁあああ!?」めんまは顔を赤らめる。

「はぁあ?」

「正直に言えよ。超平和バスターズに隠し事は無しだぞ!」と、ゆきあつ。

「ゆきあつ!」

「いーえ!いーえ!いーぇい!」ぽっぽは嬉しそうに囃し立てる。

「ぽっぽ!!このやろ!!」

「もーやめなよー」つるこはいつものように仲を取り持とうとする。

「だッ。だーれがっ、こんなブス!!」

泣くと思ったんだ。めんまは泣き虫だから。なのに。なのに―――。

「えへへ」めんまは笑ってた。

俺は自分が恥ずかしかった。恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて走って逃げた。

あの笑顔が心にひっかかってた。明日―――。明日謝ろうって思った。

でも。

永遠にこなかった。

「仁太。めんまちゃんが、いつものあの場所のちょっと降りたとこにある沢の流れの深く、足をすべらせて」

ものの見事に平和をバスターしちまった俺達は何となく…。離れていって。離れていって―――。

めんまが死んでしまった後、母親までも死に、高校受験にも失敗したじんたんは底辺の高校に入学しひきこもりがちになっていた。

やっていることといえばゲームやネットばかり。そんなじんたんの夏の終わり。

「起きて、じんたん」

懐かしい声がする。聞き覚えのある声。でも聞き慣れない声。

「じんたんはお寝坊さんだねぇ。おじさん、もう仕事行っちゃったよ」

俺はこのあまったるい声を知っている。でもその声はもう聞けないはずだ。あの場所から白は消えてしまったから。

夏の終わり。そいつは現れた。

夏の獣は相当に獰猛だ。俺は非現実を受け入れない。UFOやらUMAやらMMRやら。幽霊やら。

これはきっと抱えまくったストレスと抱えまくったトラウマが夏の暑さと合わさって俺の頭をおかしくさせてるだけだ。

じんたんがめんまの幽霊に抱きつかれ、かまわずにインスタントラーメンを作っているとチャイムが鳴った。

「…これ。担任に頼まれた夏休みの宿題」あなるだった。

ちょっと待て…っ。こいつが“これ”を見てしまったら…どうなる?

「その声!!わかった!あなるだぁ!」めんまが嬉しそうに飛び出してくる。

しかし、あなるにはめんまが見えていないみたいだった。声も。

ああ。そうか。これはやっぱり俺の…。俺は病んでる。確実に。

「仮に!俺のストレスが具現化した存在としておまえがここにいるとしてだ!何で今更…しかもでかくなってでてきやがった」あなるが帰ってからじんたんはめんまにそう聞いた。

「そんなこと聞かれたって…わかんないってばよ!…ただねー。たぶん、お願い叶えてほしいんだと思うよ、めんま!」

「!?お願い…ってなんだよそれ」

「うーんなんなんだろうね」

「俺が知るか!願いがわかんなくちゃ叶えようがないだろ」

「あ、けどね、それね、“みんな”じゃなきゃ叶えられないお願いな気がする!」

「“みんな”…?」

「まずあなるに頼もうよ!たぶんあなる、めんまのこと見えてないの。だからねじんたんがね」

「見たろ。あいつはもうお前の知ってる安城(あんじょう)じゃねえ」

「えぇ?あなるはあなるだよ?みんなに優しくてゲームとか漫画とかいっぱい持ってて」

「だから!あいつはもうあの頃の安城じゃねえ。あのどぐされ売女に頼んだって、手ぇ貸してくれるはずないだろ!」

「どぐされ?」

「馬鹿女ってこと!ともかく!もうあいつは友達なんかじゃな―――」

「やだよッ!!やだよ…あなるの悪口いうじんたんなんて嫌いだよ!!」

「…めんま」

「ねぇっもっかい、あなるんとこ行こうよ!お願いしよう!じんたん!」

そうか。どうして“今”こいつがここにいるのか。あの頃のあの夏の俺が作り出した幻。この夏の俺を責めるために。

「わかったよ…。そのお願いってのを安城にしてみりゃわかるだろ」

そうだ。そうすりゃわかる。めんまもあの頃の俺も納得するだろう。安城だけじゃない。あの頃とはすべてが変わっちまったってこと。

ひきこもりで外に出ることに抵抗があったじんたんだったが、めんまを連れあなるの家のほうに向かう。

その途中。制服姿のゆきあつとつるこに出会った。俺も着るはずだった高校の制服…。俺も…。

「すごいねすごいね!かっこよくなってるね!」めんまは大きくなったゆきあつとつるこに感動し騒いでいる。

「いくぞめんま!」めんまの声にカッとなったじんたんはそう叫んでしまう。

「は?…めんまってなんだよ」ゆきあつにはめんまが見えていない。「お前…未だにそんなこといってんのか?聞いたよ。お前学校行ってないんだってな。受験に失敗してここらじゃ底辺の学校入って、学校も行かず本間芽衣子の名前呼んで、頭に何か湧いたんじゃね?」

「松雪、あんたいい加減に、あ…」つるこが仲を取り持とうとしたが、じんたんはめんまを置いて走り出してしまった。

ゆきあつのアホー!!めんまはじんたんを追いかける。

「待って!じんたん!」

「これでよくわかったろ!みんな変わっちまったんだ。いや…一番変わっちまったのは…俺…なんだよな…」

「じんたん…?」

「俺のストレス。そろそろ勘弁してくれよ。おまえといるとやなこととか、やなこととか思い出していらいらするんだよ」

じんたんはそういって歩いていってしまった。めんまはその場で立ち尽くしている。

「なにがそろそろ勘弁してくれよ、だ…」じんたんは家で昔を思い出している。

「どこまで逃げる気だよ…、俺は…!」めんまのえへへと笑った顔が脳裏を離れて仕方がない。

行かなきゃ―――。俺はずっと逃げてきた。あの日から。今もずっと。過去にとらわれて、すべてに無気力で言い訳ばかりが頭を回って。違うんだ。俺はずっと欲しかったはずだ。ずっと、ずっとあの日の明日が。

めんまに謝れる明日が、欲しかった…!!

「くそおおおおぉお」じんたんはめんまを探しに走り出す。

そうだ。きっと俺はめんまに謝るためにめんまを造り出した。だったら、このままじゃ―――。

じんたんは超平和バスターズがよく集まっていた秘密基地たどり着いた。

「めんま!?」

何だこれ…。誰か住んでるのか?俺達の秘密基地に…。

そこにいたのは大きくなったぽっぽだった。勢いでめんまのことを口走ってしまったじんたん。素直にそのことを受け入れるぽっぽ。

「でさでさ!めんま、お願いがあるんだろ?それ叶えてほしくてきたんだよな。だったらさあ!“みんな”で叶えてやろうぜ、それ!」ぽっぽは嬉しそうに言う。

「“みんな”…?」

「みんなっつったら決まってんだろ!」

超平和バスターズ。

あの日、ここで止まった時間が動き出す。

…全3巻で非常に短い漫画ですが導入部分だけまとめてみました。アニメを忠実に再現されている漫画なので、アニメとほとんどあらすじは一緒です。

漫画版『あの花』の名言

高校生なんてよ…えれぇオッサンに見えてなんだってできるようになる気してたけど…あの頃の方がなんだってできたような気がするね。

かっけぇんすよ…ピカピカ光るじんたん。

めんまもね!生きてるってカンジするじんたん見てると、生きてるってカンジするよ!

引用:「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」泉光(ジャンプコミックス)

漫画版『あの花』のおすすめポイント

アニメにはないスピード感。

アニメにひけをとらない作画。

漫画版『あの花』を読むとアニメ版『あの花』の演出がいかに素晴らしかったかが実感できる。

大好きな作品、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は未だに何度見ても、内容を知っていても泣けてしまう作品です。後半に行くにつれて涙無しには見れないぐらい盛り上がっていき、最終回なんて号泣モノでした。

…が、しかし。ネットで調べてみるとあのアニメって右肩下がりなアニメって言われているんですね。知らなかった。最終回なんてかなり酷評されているみたいで、一気に冷めた。なんていう意見もあるみたいです。

まぁ、僕は号泣しちゃうんですけどね。

んで、今回漫画版を読んでみることにしました。まず作画の素晴らしさ。完全にアニメクオリティって言っていいほど作画が綺麗でアニメ版を好きな僕としてもかなり合格点な作画でした。

そして、物語の進行も原作のアニメ版にほとんど忠実でアニメを見直しているのではないかというぐらいストーリーを綺麗にさらってくれています。

さらに漫画版にはアニメにはなかったシーンが追加されていたりしてアニメを観て内容を知っている人でももう一度楽しめるようになっています。たとえば、アニメ版よりもつるこの出番が多くて、つるこがめんまの絵を描いていたり、超平和バスターズではいつも一番後ろを歩いていたとか細かい設定が垣間見えます。

それに、ネットで結構批評されていた部分にも手が届くようになっていて、なんでラストがかくれんぼで終わりだったのかとか、そういう伏線もちゃんと回収できるように途中に新しいシーンが追加されています。

さらに、めんまをみんなが信じるようになるシーンはアニメ版だとかなりラストのほうですが、漫画版だとバーベキューのときにめんまが花火で自分の存在を証明しているシーンが追加されています。

原作には忠実なんですが、ところどころ追加されている場面が漫画版では新しく読めてかなり嬉しい。多分アニメを観て不満を持った人は漫画版を読んだほうがしっくりくるんじゃないかな。

…とは言ったものの。アニメ版でがっつり泣いた僕としてはアニメに何の不満もなかったわけで、蛇足だと感じてしまった部分もあるわけで、じんたんのお母さんの口癖のシーンは要らなかったかなぁ。と追加されている部分に不満を持つこともありました。

さらに、僕がアニメ版の中でかなり大好きな、じんたんとお父さんが墓参りに行くシーンで、おとうさんが帽子を脱ぐシーンがカットされていたり、ラストのぽっぽの告白やつるこの告白などがシーン変更や削除されていたりと、残念な部分も少なからずありました。

それで、最後まで読んだ結果、非常に面白かったんですが、今回もやっぱりちょっと泣けませんでした。いやー、やっぱり演出って大事なんですね。どの場面をどの順番で持ってきて、このシーンで『secret base 〜君がくれたもの〜』が流れるとかそういった演出で僕は泣かされていたのでした。

順番がちょっとでも違ったり、音楽がなかったりするだけであれだけ号泣した作品でもやっぱり泣けなくなってしまうのです。

そう考えると本当にアニメの作り方は凄かったなぁと思いました。

漫画版を否定しているわけではありません。漫画版には漫画版の良さもある。話によると、さんまさんは漫画版のあの花を読んでつるこが理想の女性だって感じたみたいですし。アニメよりも漫画の方がつるこの扱いが丁寧です。

ですが、人間が泣くという行為には五感による刺激が結構大きな役割を担っているんだなというのがこの漫画を読んでみて、改めてアニメを振り返ってみてわかったのです。

アニメには漫画にはない「音」の演出がある。言ってみれば僕は『secret base 〜君がくれたもの〜』に泣いているのかもしれない。そしてぽっぽの告白のところでどうしても泣いてしまって仕方がないのは、ぽっぽの声を当てている近藤孝行の演技が光っているのかもしれない。

文字で見ても泣けるかなって思ったんですが、ぽっぽの所では泣けなかった。でもアニメでは何度見ても泣ける。そこにあるのは、「音」を含めた演出です。

・・・ということで、漫画版あの花にはいいところもあるし、悪いところというか、アニメの方がいいって思えるところもあるよっていう作品だったよっていう感想でした。

アニメを観て面白いと感じた人は読んでみて損はない作品です。がっかりはしない仕上がりになっていると思いますよ。

まとめ

漫画が原作でアニメ化した作品って結構あると思うんですけど、アニメが原作で漫画化された作品というのが僕の中では珍しいものだったので、新しい感覚でした。

まぁ、探せばエヴァンゲリオンとかいろいろあるとは思うんですが。

アニメで作画がよくて漫画だとキャラが全然違うっていう場合もありますが、この作品ではそういうことはありませんでした。完全にアニメクオリティ。泉光っていう漫画家すごいなって思いました。

残念ながら、今回も泣けなかったので、泣ける漫画探しの旅はまだまだ続きそうですが、もしあの花の漫画版ってどうなの?アニメ好きだったから読んでみたいんだけどっていうあなたは読んでみて損はないと思います。ネットで調べてみると漫画も泣けるっていう意見が多かったですから。

僕の涙腺、どこいっちゃったのかな。

泣ける作品あったら誰か教えてくださいませ。

ではでは。漫画版「あの花」のレビューでした。

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野口明人の漫画版『あの花』レビュー
  • ストーリー - 80%
    80%
  • 絵 - 95%
    95%
  • キャラクター - 80%
    80%
  • 読みやすさ - 85%
    85%
  • メッセージ性 - 70%
    70%

レビューまとめ

漫画かアニメかと言われれば、僕はアニメを推すけども、どちらも見て欲しい。それほど完成度は高い。

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ABOUTこの記事をかいた人

好きな映画は『オーロラの彼方へ』。好きな小説は『十八の夏』。好きなCDは『Return to Forever』。好きな漫画は『惑星のさみだれ』。趣味はロードバイクで日本をぐるぐる。そんなノッポでうずまきな30代。埼玉出身。ブログは今年で9年目!!記事少ないけど。…でも、それぞれ魂込めて書いてきたはず。だから、今日も読んでくれてありがとう!