- 原作:森高夕次
- 漫画:アダチケイジ
- 出版社:講談社
- 掲載誌:週刊モーニング
- 発表期間:2010年12月9日 - 2014年8月28日
- 巻数:全17巻
COMIC REVIEW
グラゼニという野球マンガを初めて知った時、正直あまりいい気持ちにはなりませんでした。野球マンガと言えば、青春。青春とお金は一番離れた所にいて欲しいと思っていたからです。
ですが、この漫画をすべて読み終えた時、僕の考えは全く変わってました。よくぞ、よくぞこの視点から野球を描いてくれた!と。野球を10年やっていた僕ですが、野球と言えばプロ野球よりも甲子園が好き。なぜなら、一生懸命だから。
そんな僕の“わかっていなかった”プロ野球の魅力をブーメランフックのようにガツンと教えてくれた漫画『グラゼニ』。今日はその漫画のレビューをしていこうと思います。
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漫画『グラゼニ』 – 内容・あらすじ
教えて!レビューロボ!-グラゼニの巻-
ロボ。それはすべての人達の希望であった。期待を膨らませ何度引き出しを開け締めしたことだろう。しかしそこにあるのはいつも見慣れた光景。「あ〜ぁ。アウターゾーンのミザリーみたいな子に会いたい…」そう呟いたのは無料漫画相談所で働くお兄さん。暇すぎる彼は…
漫画『グラゼニ』 -内容紹介-



みなさん――突然ですが僕の年収は1800万円です。今年で26歳独身――普通は500万円〜600万円くらいで一家4人5人が食べてますもんね……。そう考えると僕はかなりのリッチマンと言えるかもしれません。え?この顔がそんな高給取りに見えない?僕の顔の事はほっといて下さいよ。僕の職業は夜勤――。
引用:『グラゼニ1巻』原作:森高夕次, 漫画:アダチケイジ(講談社)





漫画『グラゼニ』 -解説-





















































漫画『グラゼニ』 -世間の評価-







漫画『グラゼニ』の批評を終えて -現実-





漫画『グラゼニ』の名言や気に入った表現の引用


所詮プロはカネです。
プロ野球の契約金ってのは一般の社会の“退職金”という性格もある……悪いことは言わん…。引退するまで契約金には手をつけんほうがいいよ。
爽やかなハズの現役バリバリのスポーツ選手が引退後の生活設計を考える……ホント爽やかじゃないよね…!でも……それが“プロ”!ということ—!
プロに入ったら自分以外は全て敵だ。
たまにさ……「おれは“飲み”の席じゃ絶対仕事の話はしねェ」って奴がいるよな。まあ……スマートさんでけっこーだけどよう……おれはそーゆー奴は信用しねーな……
プロの運動選手はみんなとんでもない運動神経を持っている。でもそれでもヘマをやっちゃうのは……“みんなとんでもない緊張感”の中でやっているから……
「過去の実績」より「今の調子」なんです!
子供が生まれてくるまで?じゃあそのあとは二軍に落ちてもいいんだ……。子供が生まれてこようがこまいが……そんな事は関係なくずっと一軍にいりゃいいじゃねーかよ。“家族のため”に野球をやる?笑わせんなよ。野球は“自分のため”にやるモンだろ?うまくなったら喜び……下手クソになったら嘆く!それだけの事だろ!?二軍に落とされるって事は「おまえは下手クソだ」って言われた事と同じなんだからその事だけを嘆けよ。一軍にいるって事はその逆だ!野球をやっている以上「おまえはうまい」と認められていたいだろ?本能として!そこに“家族のこと”なんて絡めるなよ。
一年一年…目の前の仕事を頑張って生きてゆく…。それが人生だもんねェ。
「元プロ野球選手」という肩書があると……まわりがそれなりに気を遣っちゃうだろ?
一軍の監督ってモンは選手のことを「将棋の駒」としか考えていないんだ。その駒を指せる権利を持っているのは文字通り監督だけ。それを指して失敗したら……「指した自分がバカだった〜〜」と責めるだけ!“駒”のことは責めない。モチロン守っている野手も“その駒”のことを責めない!「長いシーズンを戦っていく」ということは……そういうことなんだ。
ひろし〜〜〜おおきくなったなあ〜〜〜〜
プロに入ったのに………“プロ以外”のチームと対戦しなければならない!“わずかばかりのプライド”も消し飛びます。
吹っ切れるも何も……“この現状”を受け入れるしかありませんから
おれたちが出ている試合が「日本シリーズ」なのかなんなのか分からない。それが天下分け目の“第7戦”とか……正直知ったこっちゃないんだ。
山梨県鶴見川高校野球部出身凡田夏之介クンは………甲州武士の鑑だッ!武田信玄もきっと鼻が高いと思っとるぞ〜〜〜〜〜ッ!
誰がなんと言おうと今日は人生最高の日だッ嬉しい!山梨バンザイ!
“競争”はプロ野球だけじゃない。どこもかしこも厳しい。
プロ野球で“親父の背中”なんて言ってる奴は凄い余裕のある奴だ!1回クビになったおれはプロ野球にしがみついている身分だ!ストッパーになれればそれは幸いだが……。まだまだ“敗戦処理”だろうがなんだろうが…「行け」と言われたとこは全て行く!来シーズン1円でも多く給料を上げるために……な。そんな男に“親父の背中”も何もない……。
絶対負けるハズがないと思っていた奴が自分の上を飛び越えていく……。こんな“恐ろしい世界”があるか………!?!?
おれのことを“球団の顔”としてなかば「スター扱い」しておきながら……その裏でおれを追い落とす奴を養成していた。ふ……。ま……。それが「プロ野球株式会社」なんだけどな……!
“勝負事”は相手を無理矢理にでも見降ろしていかなきゃ……!
この先どうなるのか分からない!でも僕は“一流”の仲間入りを果たしたんだ!この人を………この人を………一生守っていきたい!
俺に言わせりゃよ…「メジャーの流儀」はたったひとつだ!「技術なき者は去れ!」これだけね!
活躍した時にむしろ落としてやる。そっちの方が“下”でがんばれるからな………
僕はこれが “人生”ということだと思っているんです。いや……これこそが “人生”!“人生”とはままならないものでしょ。
そりゃあ西浦先輩は普段は頼りない顔をしてる時もあります。でもこの人はイザという時になったら一番頼れるアニキなんです。男は「イザって時」……ですよ。僕は高校の時……この人から“男”ってモノを学びました。だからプロ野球選手になれた。僕の「ピッチャーとしての原点」は……“西浦菜津樹”なんです。この人なら一生……絶対大丈夫です!
泣けた……自分の情けなさに泣けた。

漫画『グラゼニ』 – 個人的な神回


グラゼニ 第01巻
- 第4話「ともだち」の巻
グラゼニ 第02巻
- 第9話「倍数」
- 第10話「二軍なのに一軍」
グラゼニ 第03巻
- 第12話「教師 or 反面教師?」
- 第14話「投げるタマがない!」
グラゼニ 第04巻
- 第17話「便利屋卒業?」
- 第18話「やったぜベイビー」
グラゼニ 第05巻
- 第22話「戦力外通告!」
- 第24話「ナッツの身体能力」
グラゼニ 第07巻
- 第30話「ふたりのナッツ」
- 第32話「ナッツとプッチンプリン」
グラゼニ 第08巻
- 第39話「蚊帳の外」
- 第41話「アンタのエエ人」
グラゼニ 第10巻
- 第42話「逆・シリーズ男」⑤
グラゼニ 第11巻
- 第46話「The last run」
- 第50話「投げるな!」
グラゼニ 第14巻
- 第65話「A・RA・SHI」
グラゼニ 第15巻
- 第68話「ポスティング」前編(米米CLUBのTIME STOPを凡田が泣いて唄っていた時に天才だと思った。この漫画家のセンススゲーと思った)
グラゼニ 第17巻
- 第83話「クビの理由」
- 最終話「決定力の無い男」

漫画『グラゼニ』の最終話・最終回・ラストについて

by 無料漫画相談所の人
- ネタバレを表示
スパイダーズとの契約更新が上手く行かず、言われるがまま、ポスティングシステムを申告する凡田。ここから怒涛のエンディングラッシュが続くわけだけど、正直な所、続編の存在を知らなかった僕は、海外編が始まるもんだと思っていた。
海外メジャーリーグに挑戦する凡田が、今までずっとグラゼニ、グラゼニと言ってきたけど、やっぱり最後はお金じゃなくて夢だよね!的な所で、僕達の夢はこれからだ!みたいなラストだと思っていた。
でも、やはり常に右斜を行く演出。
同時並行に進行していた恋愛ストーリーを上手く絡めてラストをまとめる。渋い。凡田がすごく好きになってしまう。続きも読みたくなってしまう。よかった。メジャーリーグに行かなくて、本当に良かった。
こんな奥さんがいたらイイなぁと心から思いました。そして凡田の性格を最大限に活かしたプロポーズ。うぉぉ。泣いた。泣いたまま最後のページをめくった漫画は他にあっただろうか。
それだけこのラストは僕にマッチしました。
漫画人2号 泣いたままページをめくった漫画、結構アッタダロ。
漫画『グラゼニ』のような漫画・似てる作品・おすすめ

漫画レビューまとめ

ども。ロボの中の人、野口明人です。
実はこの漫画、衣笠祥雄が亡くなったのがきっかけで読み始めた漫画です。衣笠の特集を組まれていたのをテレビで観て、試合に出続けるって本当に凄いことだなぁと。
それでプロ野球を扱っている漫画を探して『グラゼニ』を発見しました。聞きなれない言葉、グラゼニ。
「グラウンドにはゼニが落ちている」南海ホークスの名将だった鶴岡一人が実際に言った言葉を略してグラゼニ。最初に思ったのは、そのゼニを落としているのはファンであって、なんか聞こえが良くないよなぁ…と。
でもこの漫画を読んでまさにプロ野球選手も一人のビジネスマン。サラリーマンが家族や生活のために営業を必死で取ってくるように、彼等も必死なのだと言う事がわかりました。
ゼニが落ちている。誰もがそれを拾いたがる。常に競争。ゼニをつかめなかったやつには悲惨な人生が待っている。そう考えると、スランプやチーム事情などなど様々なカベがありながらも、ずっと試合に出続けた鉄人こと衣笠祥雄の偉大さを改めて知りました。50歳になってもマウンドに立っていた山本昌のすごさを知りました。
どうにもこうにもプロ野球を観ると一流の選手ばかりなので、一流が当たり前のように思ってしまい、その一流で居続ける事がどれだけ大変な事かを忘れてしまいます。戦場に立っているだけで凄いことを忘れてしまいます。
声が出ずとも解説者をしていた衣笠。最後の最後まであの人は戦場で戦っていたのだなぁと、改めて目頭が熱くなりました。ご冥福をお祈りします。
プロ野球、もう一度観始めるかな。
ではでは、そんな感じで、プロ野球の魅力を改めて感じさせてくれた漫画『グラゼニ』でした。読んでくれて本当にありがとう!
野口明人
さて、今回の漫画は何点でしょうか。ロボ、よろしく。
…あ!あなたも「User Review」という所をクリックするとこの漫画に対する点数を付けることが出来ますので、気軽に参加してみてくださいませ。

他人との接点を最小限にとどめ生きていくロボ。彼が心を開くのはハカセ指令だけだった。自分より『グラゼニ』に詳しいロボに、無料漫画相談の人は惑う。次回「レビュー、この下のむこうに」この次も、サービスサービスゥ!

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グラゼニ - 感想・評価
グラゼニ
- ストーリー - 93%93%
- キャラクター - 81%81%
- 絵 - 59%59%
- 読みやすさ - 82%82%
- メッセージ - 91%91%
漫画レビューまとめ
絵ハソレホド上手クハナイケド、解説モ丁寧デ読ミヤスイ。野球ノ魅力ヲ別ノ角度カラ教エテクレル珍シイ漫画。トニカク演出ガイイゾ。プロ野球ノ事ヲアマリ知ラナクテモ、キット面白イ。ロボモ素振リ、ガムバリマス!