『グリーンヒル』を読んだ。ダメ人間が集まればそれだけで面白くなる

78%

グリーンヒル

作者:古谷実

掲載誌:週刊ヤングマガジン(講談社)

発表期間:1999年 - 2000年

巻数:全03巻

『グリーンヒル』レビュー

古谷実のグリーンヒルを読んだ。

基本的に、古谷実の作風は好きだが、作風と言ってしまうと、この人の漫画はひとつひとつの作品の作風がまるっきり違うので、この人の描く世界観が好きなんだと思う。

3行でわかる『グリーンヒル』

超面倒くさがりの大学生が、

女の子に一目ぼれしてバイクチームに入り、

色々と未来について考えるギャグ漫画。

3分でわかる『グリーンヒル』の詳細なあらすじ

誰かが言っていた。人間は生きながらにして腐るという。オレもそう思う。それは内面だけの事じゃない。

…なぜならおヘソの下の所にカビが生えていたのを発見した。

目標のない若い男子のなんと醜い事か。

そう考えながらハンバーガーショップでジュースをチュ~チュ~すする、ちょーーーーーー面倒くさがり屋の大学生、関口。

そんな彼の目の前に「グリーンヒル」というライダースジャケットを着た巨乳の美女が現れた。

一瞬で一目惚れし、彼の青春のベクトルは定まる。毎日毎日銅像が建つぐらいハンバーガーショップに通い続け、もう一度あの女に会うのだ。

それってストーカーじゃねぇの?と友人に一掃されたが、友人のパシリ2代目の「しのびだ」が着ているTシャツが「グリーンヒル」であることに気が付く関口。しのびだはグリーンヒルの一員なのだ。

しのびだに聞くと確かに超ダイナマイトなお姉ちゃんがいるバイクチームらしい。まったくバイクに興味の無かった関口だったが、その女に会うためにチームの会合に連れて行ってもらう。

ファミレスに行くとリーダーがいた。

…明らかに誰がどう見ても不細工にしか見えないデブのおっさんのリーダーが。そこのリーダーが言う。

「オイお前何か特技はあるのか?」

「…肩の関節が外せます」

「…バカ野郎」リーダーは怖い顔で言う。「オレなんてスポーツバッグに入っちゃうんだぜ」

突然、バッグに入りだすリーダー。ウェイトレスがやってきて注文を取りに来てもバッグに入ることに必死なリーダー。関口の話を聞かずにわけのわからない事をやっているリーダーに関口はキレ、入れるのか入れないのかはっきりしろよ!とバッグに入ったリーダーをぶん回す。

そこに強面のメンバー3人がやってくる。そこにハンバーガーショップで見たナイスバディーなお姉ちゃんはいた。

彼らはリーダーの元を通り過ぎ、別のテーブルへ座っていった。

あっアレ!?あのチョット!!?

わけのわからない関口にしのびだは説明する。昔はいっしょだったんだ。でも今じゃまったくの別モノだよ、と。

じゃっじゃーーお前の言ってた超ダイナマイト姉ちゃんってのは!?と関口は反論。

そこへやってきたデブで不細工な伊藤よしえ。しのびだが言っていた超ダイナマイト姉ちゃん。

関口はその場を立ち去り、先ほどの強面の3人の座るテーブルへ行く。

「あ…あの~…僕をコッチに入れてくれませんか?」

「バイク何乗ってんの?」強面のヒゲ坊主が尋ねる。

「え・・・・FYZ1500WR」バイクなんて知らない関口は適当に答える。

「そんなバイクねーな~」ヒゲ坊主は話にならねーという具合に煙草に火をつけていると、

「プ…あははははははは」本物の超ダイナマイト姉ちゃんが爆笑する。「いーじゃん入れてあげれば」

「ダメだね。サッサと消えろ」

「免許とってまたくればぁ」そう超ダイナマイト姉ちゃんに言ってもらえた関口は有頂天になり、さっそくバイクの教習所に通う事に。

そこで一緒に教習を受けた横田という女性に話かけられ、どっちが先に取るか勝負しましょうと持ちかけられるが関口は全く興味を持たず超ダイナマイト姉ちゃんの横にいた長髪の男が何者かをブツブツと考えていた。

改めてグリーンヒルの会合に参加し、新たなメンバーとして紹介され、関口は他のメンバーとも顔を合わせた。歓迎会として飲み会を開いてもらい、ノリが合った奇抜な髪型をしているイトーちゃん(デブで不細工な伊藤よしえの旦那。床屋の店長)に彼女いるのか?と聞かれもうすぐ出来るよねと答える関口。

ブタのリーダーに彼女の名前を聞くと、超ダイナマイト姉ちゃんの名前はミドリだという。そして、ミドリちゃんはやっぱりあの時横にいた強面の長髪、佐藤という男の彼女で、お前なんかが入るスキコレっぽっちもねぇと言われる。ついでにリーダーの名前もミドリ(岡ミドリでグリーンヒル)。

関口はあまりバイクに興味がなく、教習所でもあまり上手く運転できなかったが、一緒に受けている運転の上手い横田に文句を言われているうちに妙なライバル心が生まれ、ぜってーあの女よりも先に免許を取ってやるという闘志がわいてきた。しのびだに無茶を承知でバイクを借り、無免許で公道を走る関口。

10分もすると慣れてくる。そして「流れを読んでスイスイ」という事が出来るようになってスムーズに走ってはいたが、気が付けば高速道路の料金所に入ってしまう。最初は死を覚悟していたが、少し経つとバイクの爽快さに取りつかれ、富士山を目の前に満足して一服している自分がいた。実にいいモノを手に入れた。バイクがこんなに素敵なモノとはまったくもって知らなんだ。

何はともあれバイクは欲しいが金がない。バイトを探さねば。地元に戻った関口はしのびだとともにファミレスでバイト誌を眺めていた。するとリーダーがなぜか横田を連れて入ってきた。どうやら、横田もグリーンヒルに入るらしい。横田は関口にローンで買ったバイクを見せびらかす。悔しがる関口。

横田に先を越されはしたが関口も、やっと免許を取得した。ミドリちゃんが佐藤のロンリーウルフな所に惹かれていると聞いた関口は自分も一人旅に出ると言い出した。旅アイテムも何も持っていなかったが、全部貸せと当たり前のように要求。

「実はオレ人間がキライだったのさ 実はオレお前たちも大キライだったのさ」とロンリーウルフをどこか勘違いしている捨て台詞を吐き旅に出発する関口。

オレは風になったロンリーウルフ。街を抜け出し、今、フラッと旅に出たのさ。どこへ行くかって?フッ…人のいない所へ…。誰もいない所へ!

そういって海へ到着し、海っていいよねと海を眺める。しかし、すぐに飽きてしまい海に向かって

「人こいしぃーーーーーーーーーーーつまんねぇーーーー超つまんねぇーーーーー」

と叫ぶ始末。

帰ってきてからはグリーンヒルのメンバーとつるんだり、横田に大嘘をついて殺されかけたりしたが、一番大きな出来事は、ミドリちゃんと佐藤が入籍しちゃった事だろう。

失恋後、メンバーと一緒に旅に出る。そこでリーダーはツーリング中にウンコを漏らし、横田に求婚したがフラれ、ハゲでヅラを被っている事がバレる。

リーダーは32歳のデブでハゲ胸毛ボンだが5億の遺産を継ぐことになっている男。みんなが旅から帰ってきても2週間行方不明になっていた。彼は山で遭難してやっとのこと帰ってこれたのだが、帰ってきてもチカンに間違われたり、変な宗教に騙されたり、バイクを盗まれたりした。

そんな冴えないリーダーを差し置いて、しのびだには彼女が出来、関口と横田は付き合う事になる。

その事実を一気に知ってショックを受けたリーダーは逃避行に出る。旅先から電話をかけてきて、グリーンヒルは解散だと発言したが、みんな「別に~」っていう感じだ。

ついにキレたリーダーは道端で叫びまくり、けっ結婚してぇ~~!!!と叫んだところで道端にいたカップルにケツに傘を刺され気を失う。

気を失っている間の幻想に裸の女性が現れ、嫁に行ってあげます。指定された場所に来てください。と指示を出される。

現実の世界に戻ってきたリーダーはバイクと革ベスト財布が盗まれていた事に気が付いたがそんな事は構わず全力で指定された場所へ向かう。そこで出逢った女性が…。

ハゲでデブでイジケててやけに年とってる男が好きな美少女なのだ。グリーンヒルのメンバーはすぐに嫁にしろとアドバイスし、リーダーも求婚するが、5年待ってくださいと答える。

別に断られたわけじゃないが、5年後の自分たちについてファミレスで考えてみると暗くなるリーダー。

しのびだは北海道で風俗にハマり借金地獄。関口は横田とできちゃった結婚、大学中退を余儀なくされ、朝から晩まで身を粉にして働きまくった。しかしその疲労のせいか工事現場の3階部分から落下。幸い右手と左足首をやられ職を失う。伊藤は女癖が悪く、ついには妻よしえに捨てられ、女祈祷師とやらのオバちゃん家で妙な連中と共同生活。

たかが5年でみんなバイクどころか人間やめちまっている…。

しかし、関口はこう答える。

「変わらねーよ。5年後のお前は結局ほとんど何も変わらないのさ。しいて言えばハゲが進行し…糖尿になってぶーぶー言ってる事ぐらいかな」

リーダーは未来を見据え、その日のファミレスのオーダーをサラダだけにした。

関口は家に帰り、横田を前に語りだす。

「僕はあのバイクチームに入る前…何ひとつ目的を持たないダメな若者でした…ヘソの下にカビが生えた事にも気づかないくらい視野も心も超狭い…もうど~~~しようもないなまけものでした…ヒマで腐りかけてる奴に限って「人生」とか「生きる目的」とか大そうな事を考えちゃうだろう?」

と話がどんどん脱線していく。

「えっと…何の話だっけ?」と、関口。

「だから~以前はガンコでダメ夫だったけどバイクチームに入ってよかったなーっていう話でしょ」横田。

「いやぜんぜん」関口は否定する。「オレ、ダメだ…。イトーちゃん達みてーにあそこまでバイクに夢中になれん!」

「でもまぁ、よかったじゃないの!友達もいっぱいできたし、何より私という素晴らしい人間と出会えたんだから!」

「・・・・ちょっと散歩に行ってくる」関口は一人でタバコを買いに行く。

そしてホームレスを見てこう思うのであった。

「ん~5年後か~。人類最大にして最強の敵”めんどくさい”にうち勝ち…立派な大人になりたいなぁ~がんばらなきゃな~」

ダメ人間ばかり描かれているが何故かものすごく共感が出来てしまう

グリーンヒルはバイク漫画というほどではないけれど、バイクに乗っている女の子に一目ぼれして、その子が入っているグリーンヒルというチームに加入し、その仲間たちと繰り広げるギャグ漫画だ。(グリーンヒルというのは岡みどりというダメリーダーの名前を英語にしただけのもの)

特に主人公が劇的な成長を遂げるわけでもないし、急展開なストーリーが待ち受けているわけでもない。とにかくダメな人間が集まって日常を過ごしていくというだけのもの。

今回も古谷実といえば、なダメ人間の集まりが心をくすぐる。

漫画とは、ひとつの部分をかなり誇張して描くわけだが、この漫画はダメ人間さ加減がすこぶる誇張されて笑ってしまう。ただ、心のどこかじゃ、そーだよなー、という共感の気持ちが生まれてくるのは、人間誰しもダメな部分を持っているからだと思う。

古谷実の作品は、行け!稲中卓球部、僕といっしょ、ヒミズ、ヒメアノ〜ル、シガテラ、わにとかげぎす、そして今回のグリーンヒルの順番に読んでいて、稲中、僕といっしょは別として、そのほかの作品はどうしても、ダメ人間に勝手にほれる美女が現れ、それでストーリーが展開していくというマンネリが生まれてしまっていたのだが、グリーンヒルは、稲中、僕といっしょの次に描かれた作品だけあって、まだそのマンネリは見えていない。

いや、詳しくは最後にダメな人間にほれる女性が現れるのだが、その女性が主人公を導いていくわけではない。つまりはダメさ加減がいい方向に成長していくのではなく、とにかくどん底までダメ人間に落ちていく様が見れるのだ。

まとめ

この人の作品は、ダメ人間がダメであればあるほど面白い。ギャグ漫画とはそういうものなのかもしれないが、この人のギャグは哲学的にも読み取れ、奥が深い。

そういう意味でダメ人間が奥深く描かれているこの作品はぜひ読んでもらいたいです。やっぱり古谷実の作品は発表順に読むべきかなー、なんて考える今日この頃。

もう一度、稲中から読んでいこうかな。

それでは(-ω-)/

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野口明人の「グリーンヒル」レビュー
  • ストーリー - 65%
    65%
  • 絵 - 75%
    75%
  • キャラクター - 85%
    85%
  • 読みやすさ - 80%
    80%
  • メッセージ性 - 85%
    85%

レビューまとめ

ダメ人間達が集まり、なんとなーく疑問に思った事を話していくギャグ漫画。ちょっぴり哲学的で読んでいると共感出来る部分が多い。絵もうますぎるというわけでもないのに女性がかわいく見えてくる。何かが伝わってくる漫画。

78%
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ABOUTこの記事をかいた人

好きな映画は『オーロラの彼方へ』。好きな小説は『十八の夏』。好きなCDは『Return to Forever』。好きな漫画は『惑星のさみだれ』。趣味はロードバイクで日本をぐるぐる。そんなノッポでうずまきな30代。埼玉出身。ブログは今年で9年目!!記事少ないけど。…でも、それぞれ魂込めて書いてきたはず。だから、今日も読んでくれてありがとう!