- 作者:花沢健吾
- 出版社:小学館
- 掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
- 発表期間:2004年3号 - 2005年12号
- 巻数:全4巻
COMIC REVIEW
ルサンチマンと言えば、アイアムアヒーローで有名な花沢健吾の初単行本作品。かなり有名になった花沢健吾ですが、そうなるとやっぱりいろんな作品を読んでみたくなる。そう思って手に取った作品だったわけですが、まさかこんな事になるとは…
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漫画『ルサンチマン』 – 内容・あらすじ
教えて!レビューロボ!-ルサンチマンの巻-
ロボ。それはすべての人達の希望であった。期待を膨らませ何度引き出しを開け締めしたことだろう。しかしそこにあるのはいつも見慣れた光景。「あ〜ぁ。綺麗な“めそ”のキーホルダ欲しいよぉ…。セクシーコマンドー!」そう呟いたのは無料漫画相談所で働くお兄さん。暇すぎる彼は…
漫画『ルサンチマン』 -内容紹介-



2015年、東京。世界はそれほど進歩していない。ある分野をのぞいて……
引用:『ルサンチマン1巻』花沢健吾著(小学館)





漫画『ルサンチマン』 -解説-






グリーンヒルという漫画。古谷実が大好きな僕はとりあえず彼の作品はどんな作品でも読もうと決めているのだが、稲中卓球部以降、…




2015年東京。
もう少しで30歳になる坂本拓郎はウオト印刷でヤレ紙(製品に出来ない紙)を切っていた。専門学校を卒業したが全く関係ない分野に就職し10年間工場勤務。楽しみと言えばボーナス後のスーパーソープランドだけ。素人童貞。最近やたらと涙が出る。このまま40、50と歳を取っていくのか…。
友人との飲み会に行った時、同じくダメ男でパン工場に勤めていた越後がどうやら仕事を辞めたらしいという事を聞く。仕事を辞めた後、何をやっているのかと尋ねると、
「お、女と遊んでた、ずーっと」と答える。
虚言癖が悪化したか?と思った拓郎だったが、どうやら事の詳細はギャルゲーの事らしい。飲み会の帰りに越後の家によってみると部屋はすこぶる汚い。しかし、越後に渡されたヘッドギアとグローブをつけギャルゲーの世界を体験してみると、そこはもはや現実と何一つ変わらないリアルな感触のするゲームの世界。
自分が歩けばゲームの中でも歩けるし、ゲームでドアノブを握れば手にはドアノブを握った感触が伝わってくる。そして、女の子に握られた手にはしっかりと手の感触がする。しかもゲームの世界では最初から自分に好意を持っている女の子ばかりなのだ。
完全な現実逃避。でも、この時越後の笑顔を見てうらやましく思う自分がいた。越後の話だと、必要なPCや装置すべてそろえるのに50~60万円はかかる。貯金は何度見ても60万円ちょい。
やめやめ。
オレは越後のように現実逃避せんぞ!そう自分に言い聞かせる拓郎だったが、女の子に握られた手の感触を何度も思い出していた。そしてコンビニで女の店員が自分におつりを手渡しで渡してくれなかった時に何かが吹っ切れた。
拓郎は仕事を早退し、越後の指示通りシブヤに行った。今やなんでも揃うシブヤイシマルキュー。ソフトのコーナーに向かうと同じ格好の男がいっぱい。早速拓郎もソフトを色々と眺めてみたが、どれもかわいすぎる、きれいすぎる、・・・すぎる。すぎる。すぎる。
人生で一度も女を選んだ事がない拓郎は多くの女の子から一人を選ぶ事が難しかった。挫折しそうになった時、目に入った素朴な女の子のパッケージ「TUKIKO」。拓郎はその女の子を選ぶことにした。合計57万8千円。貯金はほとんど消えた。今日は自分の誕生日。
家に帰ると母親と父親が誕生日の為にごちそうを作って待っていた。家族と一緒にご飯を食べえると拓郎は部屋で早速ゲームの設定を開始した。自分の高校生の時の写真をキャプチャーし、少々の加工を加え自分の理想に近づけ、カメラを部屋に設置する。最後に自分をスキャンし、作ったキャラと同一化させておしまい。ヘッドギアとグローブを通してリアルな仮想現実の世界へ行ける。
よしっ。人生再スタートだっ!!拓郎はゲームの世界へ入り込む。
そこには海が広がり、一軒、ぽつんと家のようなものが立っていた。だ、大丈夫…俺のこと最初から好きなんだ。と、とにかくあいさつだ。と何度もコンバンハと言う練習をして、家に近づく。
と!
女の子が海の上でおしっこをしている姿を見てしまった。「ごめんなさああぁい!」と、走って逃げ出す拓郎。「トイレがないんですぅ、だからっ!」と拓郎を追いかける女の子。「もう、ひとりはいやぁ~」と泣く女の子に拓郎も、
「オ、オレだって、もう一人はイヤだっ。オレ、今日が誕生日で、親以外の誰かに祝ってほしくで、それでっそれでっ、」
「オメデトウ。生まれてきて、ありがとう…」女の子は拓郎の頬に手を当てて言う。頬にふれた手はその時、確かに暖かかった…。
月子と言うその女の子の家に招かれ、オレにもついに彼女が出来たと喜ぶ拓郎。彼女はオレとここでずっと一緒に暮らすんだ。そう思った矢先、月子にここを出たいんですと言われる。
なぜだ俺のこと好きなんだろ?そういう設定だろっ?そうか―――!!
「おっ、おれ、俺と付き合ってくださいっ!!」そう拓郎が告げると同時に、
「私、会いたい人がいるんです!!」と月子がいう。そして、拓郎の言葉に「ご、ごめんなさいっ。私、好きな人いるから…」と断りの言葉を述べた。
なんじゃそりゃ…。金返せぇー!!絶対に元とってやるっ!!と拓郎は月子に襲いかかったが、月子は拓郎の手を噛んで逃げてしまった。手には現実世界にも残る歯形が。
ガッカリして仕事に戻る拓郎。こんな俺が彼女を作ろうとしたのが悪いんだ。パソコン、売ろう。と決意した時、越後から電話がかかってきた。フラれて噛まれて怪我をしたことを告げるとそれはありえない事だと言われる。仮想の世界で怪我をしても現実で怪我する事はない。でも確かに拓郎の手には傷が…。
越後に呼ばれ、二人で同時に仮想現実世界へ行って説明を受ける拓郎。「TSUKIKO」。もしかするとそれは特別なソフトなのかもしれない。
拓郎はもう一度月子に会いに行き、謝った。仲直りはしたものの、他の仮想現実の彼女とは違う現象が次々と起きる月子が心配になる。越後のアドバイスでネットに接続し、ドクターに見てもらうことにした。
しかし、ドクターにも原因はわからない。しかもネットに接続した事で他のプレイヤーとの接触も生まれ色々と怖い思いもした拓郎。もう二度とネットにつなぎたくないと思ったが、月子は他の街へ行きたいと願っている。
その理由は他のプレイヤーとの接触でトラブルになっていた時に救ってくれた「神崎」という男が月子の探している人に匂いが似ているからというもの。
月子を他の人に取られたくないが、話をしているうちにいたたまれない気持ちになって、月子を他の街へ送り出すことにした。そして拓郎はフラれた気分で現実世界へ戻って仕事をする。現実世界では同期の「長尾まりあ」にイジられるも、月子と話したのもあって女性に対する耐性が付き普通に話せるようになっていた。
月子と神崎の話を越後にすると、越後は興味深い話をし始める。仮想現実の起源となった話だ。仮想現実にいるすべての人工知能の生みの親。それが神崎。
神崎は自発的に思考し、ネット上から次々と知識を得ていく人工知能「ノア」を作った。しかし、24時間休むことなく情報吸収するノアは驚異的なスピードで成長し、人間の知能までも追い越してしまった。
そして自らを「神」と呼び始め、猛威を振るった。神崎はノアを封印し、今度はネットにはつながず、神崎とのコミュニケーションの中で成長していく人工知能を育てた。それが「ムーン」。月子の事だ。
「ムーン」は時間をかけ大切に育てあげた。しかし、研究費用は底をついていた。そこで神崎の同僚はムーンを大手ゲームメーカーに売ってしまった。黎明期を迎えていたゲームメーカーにとって、ムーンのような人工知能の登場はまさに希望の光だった。
ムーンの簡易タイプを大量に作りだし、ギャルゲーの登場人物として扱った。そしてそれが大ヒットした。
ただし、この話には続きがある。
大手ゲームメーカーの開発責任者として迎えられた神崎は何不自由のない生活を得ていた。そしてふと、「ノア」はどうなっているのだろうとノアの中をのぞいてみてしまった。
そこには仮想現実の神崎がいた。ノアが生み出した神崎。アンリアルの神崎は現実世界の神崎と入れ替わった。現実の神崎は自殺し、仮想現実の神崎だけが今も月子たちが住む世界に存在している。
越後はそれを賞賛する。仮想現実が本物の現実になるのだ。と。俺たちは生まれた時点で敗北者だったのだ!!このくだらない現実が、ニセモノになるのだ!
そう語る越後だったが、拓郎はそんなものいるか!と反論する。しかし、月子が神崎に向ける好意は父親へのものだとわかると月子を迎えに再び仮想現実の世界へ向かう。
月子がいるのは売春街である「ノスタルジア」。プレイヤーに飽きられて捨てられたキャラクターたちが集められ、店で体を売っている。月子の身を案じた拓郎は急いで街へ向かうが、そこで見たのは神崎と月子がキスしている姿だった。
多大なるショックを受けて現実世界へ戻る拓郎。長尾まりあと一緒に車に乗っている時にその詳細を話すと、ちょうどその時、長尾も同僚と自分の元恋人がキスしているシーンを見てしまい、仕事中にも関わらず拓郎と一緒に飲みに行くことにした。
長尾は酒が入るとだいぶタチが悪い人間らしく、拓郎にからんできた。しかし、拓郎も月子の事を悪く言う長尾に対してイライラしていたらしく強く言い返す。
すると長尾は涙ぐみ、エロい雰囲気を醸し出してきた。ドキドキする拓郎。その後いい雰囲気のままの帰り道。色々な嫌な事があって参っていた長尾は拓郎の背中に抱きつく。
次の日、長尾に抱きつかれてからというもの、月子とのショックなんてどこへ行ったやら、浮かれ気分で仕事をしている拓郎。そんな拓郎の雰囲気を察してか、長尾が風邪で休んでいたので仕事で使う道具を長尾の元へ取りに行かなければならなかったが、その役目を拓郎が指名された。
家に行くことにドキドキしながら、あれやこれや考えながら色々と期待してしまう拓郎。長尾の家につくと、ちょうど買い物に出かけているらしく、留守だった。郵便受けから中を覗き込み、いないのかな?と呟く。
そんな姿を長尾に見られ、一気にパニックに陥る拓郎。仕事の件で家に来た事を伝えることが出来ず、完全にストーカー行為だと間違われ、気持ち悪いことやめてよ!と長尾に一喝される。そして、
「酔っぱらって何か変なこと言ったかもしれないけど、あたし、坂本君みたいの生理的にダメなのよ!」
と言われてしまう。落ち込む拓郎。
拓郎が果てしないショックのどん底に落ちている中、仮想現実世界ではある動きが見えていた。アンリアルの風紀を乱す売春街に鉄槌を下すという口実のもと、神崎狩りが行われるというのだ。戦争の場所となるのは月子のいる「ノスタルジア」。
第三次仮想世界大戦の勃発の危機。
その事を越後は拓郎に伝えようとするが、電話がつながらない。その頃、拓郎はショックのどん底で酒に溺れていた。現実も仮想現実も恋しちゃダメだっていうのか!!こんなことなら最初から風俗行きゃーよかった。残ったお金は1万円。
そんな拓郎の元にキャッチのおっちゃんが声をかけてくる。1万しかありませんがと断ろうとするが、1万円で構わんと連れていかれたマンションにはお客が結構わんさかいた。
これだけ混んでいるという事はぼったくりではなさそうだ。安心した拓郎だったが、通された部屋にあったのはパソコンとボディースーツだけ。そこは仮想現実の風俗だったのだ。拓郎は騙された感満載で「俺の人生こんなもんさ」と吹っ切れ、バーチャルの世界へ飛んでいく。
そこにいたのは、まさかの月子だった。しかし、月子は神崎によって記憶が書き換えられ、拓郎の事を覚えていない。…と、言ってもその時の拓郎の容姿は前に月子に会った姿の若く加工した拓郎ではなく、不細工なままの拓郎だったから記憶が残っていても気が付かなかったかもしれない。
そんなことはお構いなく、月子を抱え上げ、その場から逃げ出そうとした。しかし神崎に見つかりボコボコにされてしまった。気が付けば現実の拓郎は全裸でマンションの前に捨てられていた。
拓郎は急いで越後のもとへ行き、事情を説明する。そして決戦の日を決め、月子奪還の計画を立てる。
神崎はその頃、精神崩壊が始まっていた。月子と関係を持ったことで、過去の記憶が呼び戻され、自分の都合の悪い記憶を自ら改ざんしていたことに気付く。仮想現実で完璧の存在だった彼は、現実の世界ではデブで気持ち悪く世間から排除された存在だった。
仮想現実での完璧な容姿を保つことも出来なくなり、神崎に味方していた女性キャラ達はすべて離れていってしまった。
しかし、月子だけは違っていた。月子は神崎を容姿で判断しなかった。元々の神崎の匂いよりも、こっちの不細工な神崎の匂いの方がなんとなく懐かしい感じがする。
そんな時にタイミング悪く神崎狩りがはじまり、お店が急に爆発した。第三次仮想世界大戦が始まってしまったのだ。崩れた家屋の下敷きになった神崎。この姿では月子を救う事は出来ない。
「標的は俺だ。お前は早く逃げろ!」と月子に言うが、月子は神崎を助けようとする。ふらふらの神崎。その時、拓郎が二人の元へ現れた。
神崎は月子の記憶を元に戻し、拓郎にこの子を連れて逃げろと指示をする。しかし、記憶の戻った月子は自分を生み出してくれた神崎を思い出し、離れようとしない。
「わかったよ、オレがまとめて救ってやらあっ!!」と拓郎は神崎を抱え追ってから逃げる。神崎は拓郎に月子の秘密を話し終えた所で追手に撃たれて絶命してしまう。神崎を救いに行こうとする月子を抱え上げ、逃げ去る拓郎。月子は神崎を見捨てた拓郎に激怒し、「大嫌い!」と言い放つ。
現実の世界へ戻った拓郎。長尾が先日の誤解を謝りに来た。仕事で来てくれたのに、ストーカー行為と間違えた件だ。謝ってはもらったものの、生理的にダメなのよと言われたことは忘れることは出来なかった。
現実の世界でも仮想現実の世界でも上手くいかない拓郎。拓郎は何とか月子に好きになってもらう為に、たくろー(若く加工した拓郎)とあくろー(現実の姿そのままの拓郎)の二役を演じ、自作自演で正義のヒーローを作り上げた。
見事その作戦は成功し、月子はたくろーの事が好きになる。初めて出来た彼女。仮想現実の世界でお祭りに行って花火を見たり、一緒に学校に通い始めたりした。
失われた青春を仮想現実の世界で取り戻そうとする拓郎。他の生徒にもモテモテになり浮かれはじめる。しかし、一緒に学校に通っていた江原という男子生徒に「ここは仮想現実だぞ。気を付けろ現実に戻れなくなるぞ」と警告される。
ただ、モテモテになった事が功を奏して月子の嫉妬心を刺激し、二人の関係はますます深いものになっていく。そしてついに二人は体の関係を持とうとするが、仮想現実の世界で行うためには現実の世界でボディースーツやチ○コケースを着なければならない。
キスをするにもマウスパーツを付けなければならない。そうしなければ現実の拓郎には何の感触がないのだ。あるのは手のひらの感触だけ。
まったくお金がない拓郎は越後にボディースーツを貸してくれと頼むが断られてしまう。会社の同僚にお金を貸してくれと言ってもみんなにことごとく断られる。
そして拓郎は最後に長尾のお金を貸してほしいとお願いする。拓郎は本当の事をいう事が出来ず、脂肪吸引をするためと嘘をついてしまったが、前向きな拓郎に心を動かされた長尾は10万円を拓郎に貸すことにした。
嘘をついてしまった事を後ろめたく感じる拓郎だったが、拓郎の性欲は止められない。10万円ではボディースーツを購入するまでには届かないので、チ○コケースだけを購入して帰宅する。
すると、母親が「友達が来たわよ」と言って紙袋を渡してきた。友達?俺にいたっけ?と思い返す拓郎。紙袋を開けるとそこにはボディースーツと手書きのメッセージが入っていた。「最高の夜にしろよ!」越後だ。
拓郎は泣いた。
仮想現実の世界へ行き、月子と一つになる拓郎。何度も何度も繰り返しひとつになる。朝になってもそれは続き、拓郎と月子は学校を休んだ。そして3日。拓郎は現実の世界で仕事を休んでいた。
心配した会社のみんなは長尾を拓郎の元へ派遣する。長尾が拓郎の家に到着するとそこにはボーディースーツを返してもらいに来た越後がいた。すべての事情を理解している越後は長尾を仮想現実の世界に連れていき、すべてを説明した。
拓郎の嘘を知った長尾は仮想現実で拓郎を見つけ、罵った。その姿を見た月子は長尾に反論する。月子とケンカになった長尾は月子に「あんたなんか現実に、存在しないのよ!!」と本当の事を告げると、拓郎は長尾をビンタした。長尾は泣いて帰って行った。
拓郎は現実の世界へ戻り、久しぶりに仕事場へ行った。キスマークたっぷりで職場に事情を話すとボカスカ殴られたが、今までモテなかった拓郎に彼女が出来た事を祝っているようでもあった。
そんな職場に長尾がやってきて、トラブルが発生したと告げる。印刷ミスがあり明日の朝までにすべてを擦りなおさなければならないのだ。そこで拓郎は自分がやると買って出た。長尾と二人っきりの職場。マジメに仕事をやっている拓郎の姿に見とれる長尾。
長尾は拓郎に「月子は現実に存在しない、虚しくならないのか」と何度も説得する。拓郎はゲームだろうが現実だろうが関係ないと反論。長尾がその言葉に怒り、「一生現実逃避してろ!」と段ボールを叩くと積み上げられた箱が崩れ落ちた。長尾を守ろうと覆いかぶさる拓郎。
その事故により二人の距離は近づき、長尾は拓郎にキスをした。月子とはキスをしてもマウスパーツを付けていない為、感覚がなかったため、ディープキスの感触を初めて知った瞬間だった。「現実の女性を諦めた」と言う拓郎に、「あきらめる前に何か努力したことあんのかよ、全部あんた次第でどーにでもなるでしょっ!!」とカツを入れる。
「現実に彼女が出来るならゲームなんてやってません!!!やってません…」と泣き震える。
「じゃあ、もうやめよ…」と長尾は優しく拓郎に語りかける。そして、二人は一つになった。
後日、拓郎は長尾とともに仮想現実に入るための装置、パソコンやカメラなどを撤去する作業に入る。
その頃、月子は江原と一緒にいた。江原と言えば拓郎に「ここは仮想現実だぞ。気を付けろ現実に戻れなくなるぞ」と忠告していた人物だ。
月子の「ムーン」としての能力に目をつけた彼。その機能を利用すれば現実世界のシステムでさえ動かせてしまう。それは信号を操作して交通渋滞を起こさせたり、核ミサイルのスイッチでさえ押してしまう事が出来る。その力を江原は利用しようと月子に近づいたのだ。
月子は長尾に「あんたなんか現実に、存在しないのよ!!」と言われてから、現実や仮想現実について考えていた。その事を江原は教えてやると月子を連れ出した。そして、拓郎と長尾が付き合ったという現実を見せ、月子は作り物なのだと教え、仮想現実を本物の現実にしてしまえばいいとそそのかした。
拓郎は髪の毛一本さえあれば仮想現実の世界に再現することが出来る。そして現実の世界の拓郎を消してしまえば、仮想現実で一生、新たに作った拓郎と一緒に暮らすことが出来るのだ。
その提案を月子は信じ、現実の世界の拓郎を捕まえることにした。交通システムを操作し、メディアを操作し、拓郎を指名手配犯にしたてあげ、捕まえたら10億円の懸賞金というニュースを流した。しかし、長尾と一緒になって逃げる拓郎。その姿をマジマジと見た月子はこの世界をすべて消すことにした。
ついに月子は核兵器までもコントロールしはじめる。しかし、アメリカ政府の防衛班が放ったコンピューターウィルスに感染し、月子の体が解体し始めてしまった。その姿を見た拓郎は月子を救うべく長尾の忠告を振り切ってビルの屋上にいる江原の元へ走り出す。
そして、仮想世界に乗り込む。長尾は再び一人にされてしまった。
仮想現実で拓郎は月子と再会し、体が解体し始めている月子をおんぶする。そして、月子は拓郎に仮想現実に創りだしたもう一人の拓郎を見せる。あとは現実の拓郎がいなくなれば、あの拓郎が本物の拓郎になる。あと一歩踏み出すだけ。
そう言い終えた時、月子の腕までも解体し始めた。消えかけの月子。月子は拓郎に言う。
「たくろーさん、もうダメみたい…。ゴメンね。ヒドイことばかりして。たくろーさんと一緒に生きたかった。私のこと忘れないで。嫌いでもいいから忘れないで」
「だ、誰が嫌いになるか!!月子ちゃんはなぁ、俺の灰色の人生に色をつけてくれたんだ!俺の人生30年分より、月子ちゃんとの2か月が、ずっとずっと重いんだ!!」拓郎はビルの屋上からそう叫ぶ。
「おっ、俺の命、つまらないものですがぁぁぁ!!!月子ちゃんに捧げますっ!!!」月子を抱きしめながら一歩踏み出す拓郎。長尾の手が拓郎のパンツをつかむが拓郎の体は虚しく宙を舞ってビルから飛び降りてしまった…。
地面に転がる拓郎の元へ走りよる長尾。拓郎のヘッドギアを頭にセットし、消えかけの月子と最後の対話を始める。







漫画『ルサンチマン』 -世間の評価-







漫画『ルサンチマン』の批評を終えて -現実-





漫画『ルサンチマン』の名言や気に入った表現の引用


午前中から仕事なくて大丈夫なのか……。やれ紙切ってるだけだもんな。何やってんだオレ?あと少しでオレ……30歳なんだぞ!!
オメデトウ。生まれてきて、ありがとう……
キミさえよければ…その、あの、好きな人がいてもいいっ、オレと友達、イヤッ、知り合い、イヤッ、他人からお願いしますっ!!!
はみ毛も〜〜はみ毛も全部オレが守るっ!!!
あきらめろ。現実に期待するな。30年生きて、お前もわかっているはずだ。現実世界で俺達に勝利はない!俺達は生まれた時点で、敗北者だったのだ!!
「坂本君、背中借りていい?」「どっ、どうぞご自由に!!」「……ハハ。手届かないよ……」「ス、スミマセン……」
お前は小学校五年の時、夏休みの宿題の工作をバカにされて以来、登校拒否になっているよ。中学には、学ランの方に積もったフケを「クリスマスツリー」とからかわれて以来、行ってないんだよ。
なんで俺は自分の人生、主役になれないんだよ〜〜〜
ここで取り戻そう!灰色だった青春をっ!!!
あんただって逃げたくなることあるだろ。我々には現実世界に逃げ場すらなかったんだ。
親父の心は、今、どこにあるんだろう。
「自分次第って肝心の相手がいませーーーん!!」「目の前に、いるだろーーーがっ!!!あたししか、いないでしょ…」
「あたしゃあ決めたのよ〜〜もう遠慮しないって〜〜。あんたのこと絶対に守ってあげるからっ!もうこれ以上〜〜好きな男を誰にも〜〜渡してたまるか〜〜。ちょっと聞いてる!?」「き、聞いてます〜〜」「だから、私を、一人にしないで。」
だ、誰が嫌いになるか!!月子ちゃんはなぁ、俺の灰色の人生に色をつけてくれたんだ!俺の人生30年分より、月子ちゃんとの2か月が、ずっとずっと重いんだ!!
お、おめでとう。生まれてきて、ありがとう。

漫画『ルサンチマン』 – 個人的な神回


ルサンチマン 第01巻
- 第1話 誕生
- 第10話 長尾
ルサンチマン 第02巻
- 第15話 月に向かって
- 第16話 失恋歌
- 第22話 敗北者
ルサンチマン 第03巻
- 第29話 デート
- 第34話 永い夜
ルサンチマン 第04巻
- 第40話 帰れない二人
- 第41話 選択
- 第48話 決断
- 最終話 さよなら

漫画『ルサンチマン』の最終話・最終回・ラストについて

by 無料漫画相談所の人
- ネタバレを表示
出来れば拓郎には、もう少しハッピーエンドがあってもいいのではないかって感じたけど、あの言葉で締めくくれた所は流石だと思った。
ただ、この作品、打ち切り作品なんですよね。最後の駆け足感はやっぱり拭えない。所々謎が残る所もあるし、辻褄があってない所もある。
そこがちょっと残念。もうちょっと長く読んでみたかったというのが本音。でも4巻でここまでまとめているのはすごいです。そして4巻の裏表紙で少し泣いた。
漫画人2号 コミックの裏表紙は忘れずにヨメ!
漫画『ルサンチマン』のような漫画・似てる作品・おすすめ

漫画レビューまとめ

ども。ロボの中の人、野口明人です。
生まれてきてくれてありがとう。
その言葉にうるうるとしてしまった。もし、この漫画の存在を知らなかったら、ぜひ一度読んでもらいたい。この漫画の帯に立ち読み大歓迎!と書いてあって、書店の人にビニールをつけないでくださいとお願いされてました。
それでちょっと花沢健吾が好きになりました。ぜひ読んでみてください。
ではでは、そんな感じで、『ルサンチマン』でした。読んでくれて本当にありがとう!
野口明人
さて、今回の漫画は何点でしょうか。ロボ、よろしく。
…あ!あなたも「User Review」という所をクリックするとこの漫画に対する点数を付けることが出来ますので、気軽に参加してみてくださいませ。

他人との接点を最小限にとどめ生きていくロボ。彼が心を開くのはハカセ指令だけだった。自分より『ルサンチマン』に詳しいロボに、無料漫画相談の人は惑う。次回「レビュー、この下のむこうに」この次も、サービスサービスゥ!

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ルサンチマン - 感想・評価
ルサンチマン
- ストーリー - 80%80%
- キャラクター - 85%85%
- 絵 - 75%75%
- 読みやすさ - 85%85%
- メッセージ - 80%80%
漫画レビューまとめ
現実世界ニ絶望シタダメ男ガ仮想現実ニノメリ込ンデイク漫画ダ。ソノ一生懸命サニ目頭ガツイ熱クナッテシマウ。ロボノ目カラモナゼカオイルガ出テキタ。ロボモコノマシーン欲シイ。作ルカ。